ギャンブル依存症は遺伝するのか

ギャンブル依存症は、ふとしたきっかけで始めたギャンブルが徐々に習慣化してしまい、最終的にどっぷりとハマってしまうというイメージがありますよね。

「家族や友人がギャンブルをやっているから自分も始めてしまい、勝った時の快感が忘れられなくなり、依存症になってしまった」という「環境」の影響が大きいような気がします。

しかし、様々な研究によって「ギャンブル依存症になるのは遺伝も大きく関与している」ということがわかっているのです。

後天的な環境も、もちろん影響がありますが、生まれつきギャンブルにハマりやすい人もいるということです。

Slutskeらの研究では、「ギャンブル依存は生まれ育った環境よりは、遺伝の方が影響が大きい」という報告がされています。

その他の研究で、ギャンブル依存症になっている人の血縁関係をみると、「両親もしくは兄弟姉妹も20〜30%の割合でギャンブル依存症、もしくはその予備軍となっている」という報告も見られます。

ギャンブル依存だけではなく、「依存症」という範囲で広げてみると、実にギャンブル依存症の親族には40〜50%の確率でアルコール、薬物依存を発現している傾向が見られるのです。

家族に何らかの依存症がみられる場合、その子供、兄弟も依存症になりやすいといえるのですね。

もし両親が依存症を持っている場合、ギャンブル依存症にならないためにも、なるべくギャンブルから遠ざかった生活をした方がよいといえるでしょう

しかし、両親がギャンブルをやっていると、幼少期よりギャンブルが身近にありますよね。
親族にギャンブル依存がいるほど、ギャンブルを始めやすい環境にあるのです。

遺伝的要因だけではなく、環境的な要因も加わって、ギャンブル依存は血縁関係で広がっていきやすいといえます。

ここまで見てわかることは、ギャンブル依存症は決して「意志が弱いからなる」わけではないということです。また、人間的にダメだからなるということでもありません。

遺伝子的にギャンブル依存症になりやすい人がいるのです。

ギャンブル依存症になっている人は脳機能が正常に働かなくなっていますので、気持ち次第で治せるものではありません。

本人はもちろん、周りの人もギャンブル依存は「遺伝的要素」が強く、「脳機能に異常が出た病気である」という点をしっかりと理解することが、ギャンブル依存症を治療していく上でも重要になっていくのですね。